2012年08月27日

大隅の田舎にも、放射能の危機が忍び寄っています!

鹿児島に最終処分場???

この記事は、ブログ「山のツバル」より転載しています。

↑写真は候補地としてあげられている、南大隅町辺塚エリア。

鹿児島の南大隅に福島で除染した放射能汚染土の最終処分場を造るというニュースが8月23日にTBS系列だけで放送されました。次の日の県庁前の原発反対のイベントでは、この最終処分場のニュースへの反対意見が次々と飛び出しました。僕は福島県いわき市の出身ですが、福島の事故からの放射性物質が付着した瓦礫や土やその他の廃棄物を、県外に持ち出して、処分の責任を他府県の人に押しつたいとは、これっぽちも思いません。多分、福島の住民の気持を代弁していると思います。しかし、福島県と国の政府は、放射能物質を全国に拡散させたいようです。

25日(土)に南大隅の自然を守る会がこの最終処分場計画反対の説明会を急遽開くという連絡を受けて、予定を色々変更して僕たちも南大隅町役場に行くことにしました。

財部町から鹿屋を抜けて根占港までは車で約2時間ほど。遅れて到着すると、80名程度の人が大きな会議室を一杯にしていました。

それぞれ、最終処分場への反対の気持ちを熱く語る中に、「遠方から応援に駆けつけてくれた人には恐縮だが、地元のことはまず地元で決めるので、よろしくお願いします。」という的外れな発言をする男性がいて????となりましたが、後から聞くとどうやら地元の推進派のよう。福島のあれだけの事故の後に、核や原子力が一度コントロール不能になると、「地元」などという小さな境界を大きく飛び越えて被害を拡散させるという事実をまったく理解できていないのだな〜・・・と驚きました。

でも、田舎に住む人の世界観は「地元」が思考の中での一番大きな枠になっている場合が多々あるので、しょうがないのかも?とも思いますが、その、最大で地元を考えることが精一杯の人たちに、原発誘致の判断を任せてきてしまったツケが、今、日本に50数基もの原発を存在させてしまった一番大きな要因であるとも考えられます。

この最終処分場計画への反対運動をするなかで地元の南大隅町を2分するようなことは避けたいですから、そうならない反対の方法を模索しなければ行けないのかな?と思いながら皆さんの話を聞いていました。

関係者から色々聞くと、最終処分場候補地になっているのは、太平洋側の辺塚というエリアであると言うことを教えてもらって、早速辺塚に向かいました。

南大隅町町役場がある根占から辺塚に続く県道563号線は、花瀬という美しい段々畑が広がるエリアを通って山道に入ります。ここには花瀬自然公園という観光地があり、その真ん中を流れる花瀬川の千畳敷の石畳は一見の価値があるところです。

563号線の山道の終点を右に折れて74号線に入り、しばらく南下すると辺塚漁港がある集落に着きます。船が4艘ばかりの本当に小さな漁港です。周辺の自然は手つかずの照葉樹林に囲まれた美しい海!豊かな海産物が目の前の海に沢山いる気配がひしひしと伝わってきます。

しかし、何でこんな処に漁港が?と思ったらちゃんと石碑が建っていました。

山中貞則という自民党議員が防衛庁長官時代に、近くに自衛隊の施設を造るので、その迷惑代としてプレゼントしてくれたものだと説明があります。まるで山中という議員のポケットマネーで造られたような書き方ですが、いえいえ、違いますよ!税金です、税金!! 残念ながら僕が住んでいる曽於市の出身・・・自民党はこうやって田舎の人々をてなづけて、原発を54基も造ることに成功したわけです。福島の事故ではまず自民党が謝罪するのが責任ある大人の対応だと思いますね。

この漁港、ざっと見た感じでは、今は漁業はしていないようなイメージでした。

で、これが、漁港を造る口実となった自衛隊の施設。佐多射撃場です。的になる断崖などが見あたらないので、海に向かって射撃をするのだろうと思います。

こんなへんぴな場所に、こんなに沢山の自衛隊の人がいます。近くにはヘリポートや宿舎もあるようです。

ここで地理的な条件を少し整理してみようと思います。

南大隅町は鹿児島の南端。種子島や屋久島を望む位置にあります。その自然資産のボリュームからみて、「九州の知床」と言っても間違っていないような場所です。赤枠が問題になっている辺塚エリアです。この部分を拡大してみます。

左下に辺塚漁港、その隣に、射撃場、右上に稲尾岳、射撃場と稲尾岳の間の急峻な山岳エリアが計画の候補地になっているようです。

同スケールで青森の六カ所再処理工場群をみてみると、候補地の辺塚エリアには充分な面積があることが分かります。地層処分での処理を考えているという説明もありましたが・・・除染土の受入を認めてしまえば、その後は、高濃度汚染物質、そして、廃炉後の汚染廃棄物、挙げ句の果てには使い残された燃料棒までが持ち込まれることになるでしょう。もし、何かが漏れ出せば、黒潮にのって日本の太平洋沿岸の漁業は壊滅です。そればかりか、九州を北上し、瀬戸内海、日本海へと流れ出ていく可能性もあります。

辺塚漁港の漁業権を買いあげ(多分簡単に買い取れるでしょう)、専用港を造り、道を整備し、労働者の宿舎を造り、処分場を建設する。これは土建屋にとっては喉から手が出るほど欲しい事業です。輸送関係も大喜び。情報筋によると、この周辺の土地の買い取りを進める動きもあるようで、下地整備は着々と進んでいるようです。

計画候補地となっている急峻な山間部には県道74号線がクネクネと蛇行しながら20km先の船間という集落まで続いています。いったいどんな山なのか74号線に踏み入れてみると、その道は県道とは思えないほどの細さと整備状態。切り立った崖の縁をクネクネと進んでいくような道です。途中、打詰(住人は10人以下と思われる)という集落の脇を通り、肝付町に入って、辺塚海岸に出るまで、1時間以上の山道、すれ違った車は1台。人の気配はなく、僻地の中の僻地。こんな場所がまだあったんだと思うようなエリアです。海岸に降りていくような林道すらありませんでした。急峻な山、ゆえに開発や利用の余地もなく、今回のような処理場建設候補地にはうってつけの条件だと思います。町長も県知事も、あの場所から数十億単位の税金を毎年永遠に巻き上げられるのであれば!と考えると心が揺らぐと思います。しかし、今のところ、そうはしないと両人は公言していますが、田舎の町長の発言など、まったく信用できないし、官僚下がりの伊藤知事の発言はとっくに信頼がおけません。法的な担保が必要になってくると思います

辺塚漁港をさらに南下すると本土最南端の佐多岬にでます。写真は佐多岬の展望台から薩摩富士と呼ばれる開聞岳を望む様子。海が美しい!周辺の山々も熱帯性の植物が生い茂り、逞しい自然の美しさを見ることができます。

こちらが佐多岬、太平洋に向かって伸びていく様子が美しい岬です。霧島錦江湾国立公園に指定されています。

現在は青森の六カ所に押しつけている核廃棄物の問題は、今後、僕たちが原発廃炉とともに、熟考して解決策を生み出していかなければならない課題だと思います。一般的に有害な廃棄物には「管轄エリアを越境しない」という大原則があります。例えば、国際法では、有害廃棄物の輸出入は厳しく規制されています。(バーゼル条約)。同様に有害どころか毒物、もしくは劇物である放射能に汚染された土、瓦礫、廃棄物も、その廃棄物を発生させた、都道府県から外に出すことを禁止すべきだと思います。そして、それぞれの原発の敷地内で処理・保管ができる方法を開発するべきです。もともと、ハイリスクハイリターンを承知の上で、原発誘致を行ったそれぞれの「地元」が責任を取って、残った燃料棒までも管理するのが正論だと思います。

その為には、県条例として「放射能物質越県禁止条例」を制定し採択する方法もあるのかな、と思います。鹿児島県であれば、川内原発から出る放射能物質や放射能に汚染された廃棄物は県外に持ち出さない。川内の原発内で処理保管を行う。しかし、県外からも一切持ち込まない。そういう条例です。

持ち込ませない条例は過去にも幾つか例がありますが、それではフェアーではありません。持ち出さない、持ち込まない。これをセットで立法化できれば説得力があると思います。しかし、問題は、現在原発を抱える自治体が運営破綻した場合です。この際には「東京都が保管する」という附則を記載しておけばいいのではないでしょうか?

今までの「自治体の放射性廃棄物拒否条例」は下記リンクから参照できます。

れんげ通信 by 市民ネット・岐阜 http://www5b.biglobe.ne.jp/~renge/jyoeiindex.htm

この記事は、ブログ「山のツバル」より転載しています。



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霧島市役所の方がいたら気を悪くしないで下さい。
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Posted by murekaze at 17:47 │コラム

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